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漢方症例集

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アトピー性皮膚炎

患者:男児(7ヶ月)

昭和63年2月28日初診

顔面に主として湿疹が出来て、カサカサで痒がる。

某医にて食物アレルギー[牛乳・卵・油・大豆・小麦]と言われて除去食をとる様指示されたが、これではこれから何を食べさせたら良いのか分からなくなり、頭が混乱してしまったと訴える。
漢方医学的な一般注意をするだけで除去食を止めることとした。
発育は良好で食欲もある。治頭瘡一方エキス顆粒1g/日を投与した。

昭和63年2月9日受診

風邪を引いてしまったとのことであった。
熱は無かったが、口唇がやや蒼白で、裏寒のあることが分かり、人参湯エキス顆粒1g/日を一週間分投与した。
※内心、「しまった。治頭瘡一方で裏寒に陥らせ風邪を引かせてしまったかと反省」

昭和63年3月9日受診

24日に突発性発疹をしたばかりである。
下痢気味であるが湿疹が落ち着いたとのこと。
人参湯が湿疹に効くのかと感心しつつ、更に人参湯エキス顆粒を一週間投与。

昭和63年3月14日受診

乳製品を食べると湿疹が悪化するが、それ以外は落ち着いている。
便は最初堅くて直ぐには出ないとのことで、人参湯に茯苓と大柬が配され脾胃を養う効果の高い四君子湯にしたならば便通も調節できると考え、四君子湯エキス顆粒を二週間投与。

昭和63年3月31日受診

湿疹が乳製品を食べても出なくなった。
便通も整い、機嫌が良いとのことであった。

以降、風邪を引いた時は人参湯エキス顆粒、桂枝人参湯エキス顆粒を投与し、それ以外は四君子湯エキス顆粒を投与していた。

冷えを取り、脾胃を補うと効果的

63年10月まで経過を観察していたが、湿疹が出なくなっていた。
平成4年6月保健所の予防接種で偶然この患児に出会ったが、湿疹はその後良くなっているとのことであった。

この症例に出会うまで、アトピー性皮膚炎の方を診ることはあまり無かった。
アトピー性皮膚炎の漢方治療は、いわゆる成書に書いてある様な形通りの、主として清熱解毒剤を出すものと信じていたが、冷えを取り除き胃腸の働きを良くする人参湯・四君子湯などを投与しても良いことを教えられた。

それ以来、当医院にもアトピー性皮膚炎の患者が増えてきたが、注意して診ると当初より清熱解毒剤などを出せるような方は殆ど無く、大部分はこの症例の様に冷えを取り脾胃を補う必要のあるタイプばかりである。

またこの症例は、食物アレルギーと言われているアトピー性皮膚炎のかなりの部分は除去食としないでも、消化器の未発達な乳幼児に見合った一般的注意をしながら、冷えを取り脾胃を補っていけば良いことを教えてくれていると思われる。