漢方治療入門講座

冷えと女性の健康

冷えと女性の健康

冷えは様々な病気の引き金
現代医学には冷えの概念も治療法もありませんが、昔から女性は体を冷やさないよう、特に生理の時や妊娠時には一層注意を払うように言われてきました。
女性は冷えに敏感で、冷やすことにより生理の不調や流産を引き起こしてしまうことがあるからですが、そればかりでなく、冷えが女性の体に様々な悪影響を与え種々の病気を起こす原因となる事が経験的に分かっていたためと思われます。
女性の生殖器は冷えると位置異常を起こしやすく、目に見えないエネルギー、気が頭に上りやすい特徴があり、手足が冷えていながら人込みや暖房の中で顔がほてったり、立ちくらみが起きたり気分が悪くなると共に神経が高ぶったり、不安定になります。女性は冷えると冷えのぼせを起こしやすいのです。
女性の冷えにより起こしやすい症状(冷えの症状とのぼせの症状が混在する特徴がある)
手足の冷え、尿意が近い、下痢しやすい、疲れやすい、体がだるい、風邪をひきやすい、しもやけ、腰痛、腹痛、便秘、薄い帯下、足が冷えて寝つけれない、鼻水、咳、顔のほてり、立ちくらみ、頭痛、肩凝り、イライラ、不安、不眠、眼充血、耳鳴、耳閉塞、生理不順、生理痛、月経停止、不妊
この他、流産を起こすばかりでなく子宮内膜症や筋腫ができるきっかけとなったり、高血圧、甲状腺機能障害、膠原病など様々な病気の引き金となっていると考えられるケースが多い。
今日の文明社会の中で私たちは体を動かすことが少なく冷暖房で保護され、一昔前と比べ、ひ弱になってきています。
それに冷蔵庫などの普及で冷たい飲物や食べ物を平素食べ過ぎていて冷えやすい体になっているので日常診療で冷えている人が極めて多いことに驚かされます。
女性の冷えを防ぐための日常生活の注意
  1. 冷たいもの、冷えるものを控えバランスのとれた食生活をする アイスクリームや氷は勿論、特に若い女性美人になれると言って生野菜や果物ばかり食べたり、甘いものをたくさん取る人がいます。また、健康に良いと言ってヨーグルトや牛乳を取りすぎる人がいますが、これらは東洋医学では陰性食品といって体を冷やすので多食は禁物です。
    若い女性は痩せていないのに痩せると美人になれると勘違いして極端な食生活をして体調を崩し、生理まで止まってしまう人もいます。
  2. 体にやさしく、体を冷やさない衣服や足の変形をきたさない履物を工夫する 体を極端に締め付けるブラジャーやガードルは気血の流れを悪くします。
    ガードルをしない様に指導しただけで膀胱炎を起こさないようになった人もいます。
    足を締め付け、変形まで起こすようなハイヒールは止めるましょう。
    足の小指は女性生殖器と深い関係があると東洋医学では考えます。
    足の小指の気血の流れが悪くなれば女性生殖器に悪影響をもたらします。
  3. 適度な運動を心がけ自然な規則正しい生活をする 丈夫な体なら冷えにやられません。
  4. 心をおだやかにし、積極的な明るい気持ちを保つよう心がける 精神的ストレスでも女性の生殖器の気が頭に上り、体を冷やしています。
    上辺に振り回されず、女性としての自然の摂理に合った心身に歪みのこない自然な生活が必要です
  5. 生理の時はシャワーや入浴、洗髪を控え、特に体調を崩さないよう肉体的、精神的過労を避ける シャワー、入浴、洗髪をして体を冷やし、生理を止めてしまったり、量を少なくして生理を狂わせることがあります。肉体的、精神的過労で体が弱り裏寒に陥り月経過多となることもあります。
  6. 出産後は大量の出血をして体力が消耗しています。生理の時より更に慎重に同じ注意を一ヶ月守るのが昔からの習慣です。 出産後二日目に洗髪をして体を冷やしてから血が上り、血の道となった人が外来にきました。
    昔は今日と異なり、栄養状態も悪く、厳しい状況の中で暮らしていた為に、女性の健康を守る為に細心の注意が払われてきました。今日の若い女性の子宮内膜症、子宮筋腫の多発はあるいは生理の時の昔からの知恵をおろそかにしていることも関与しているのではと思われます。
     

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