漢方だより

便秘攻略法

たかが便秘、されど便秘

水分、新鮮な果物、生野菜をたっぷり摂取して、牛乳やヨーグルトを忘れずに……それでも駄目なら~

便秘薬のコマーシャルのように、これで解決できるなら、何も問題はありません。
しかし、そう甘くないのが現実です。

当医院には、本人が気付かないまま長年便秘薬を使用したために体調を崩した方や、テレビのコマーシャルを忠実に実行しても尚、便秘が治らず困っている方が沢山受診されます。

一般的に便秘薬として使用されている薬(西洋医学の便秘薬ばかりでなく、ダイオウ、センナなどの生薬の入ったもの)は漢方医学の立場からみますと裏熱のある方に用いる薬で、身体を冷やします。

今日の日本人は昔と比べて虚弱で、裏寒になりやすい体質の方が増えているため、たかが便秘薬ごときで身体を冷やしてしまい、知らずしらずに体調不良に陥ったり、便秘薬を服用しても便通が整わない方が多いのです。

胃腸の調子を整え、心を豊かに

では、どうしたら良いのでしょうか。
まず第一は胃腸の調子を整える事です。
そして規則正しい生活を送り、おなかに優しい和食を腹八分に止め、心豊かにゆっくりと暮らすことです。

便秘だからといって水分をやたらに飲んだり、牛乳やヨーグルト、生野菜、果物をとりすぎれば[陰性食品といって体を冷やす性質がある]胃腸を冷やし 胃腸を悪くしてしまいます。又、お腹のマッサージをしたり、かがんで拭き掃除をしたり、体を良く動かせば胃腸の働きを良くすることが出来ます。便意を我慢せ ず、便意を感じるリズムをつけるため決まった時間にゆっくりと時間をかけてトイレタイムを取る必要もあります。

便秘によく使用する漢方薬

当医院で便秘の方に良く使用する漢方薬は以下のようなものがあります。

補気剤

胃腸を温め力をつけ、働きを良くし、便通をつける薬方です。
例)四君子湯、補中益気湯、大建中湯など

建中湯類、桂枝湯類、気血両補剤

胃腸を温め、働きをよくして、腸管の緊張をほぐし、便通をつける薬方です。
例)小建中湯、十全大補湯、当帰四逆加呉萸生姜湯など

これらは西洋医学的には整腸剤に相当する薬ですが、胃腸の働きを数倍良くし、体力アップも図ることが出来、様々な病気も同時に治すことが出来ます。

解毒剤

乙字湯、加味逍遥散、四逆散、竜胆瀉肝湯など

潤燥剤

麻子仁丸 潤腸湯

西洋医学は便秘には便秘薬を投与するだけですが、漢方医学では患者さんの身体の状態に応じ、それ以外によも様々 な薬を使い分け、単に便通を整えるばかりでなく、体調を整え、さまざまな病気をも同時に治すことができるように配慮しながら治療に当たります。

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