慢性蕁麻疹に六味丸
女性（64歳）
1年ほど前よりダニがきっかけで，全身に蕁麻疹が出て，夜になると増悪する。漢方も試し，抗アレルギー薬も服用しているが，寝られない。だるい。身体がほてる。７kg痩せてしまった。午後から夜にかけて身体が熱くなり，蕁麻疹が出る。体温を上回る外気に触れたり，風呂に入ったり，暖房を入れたりしても蕁麻疹が出る。布団も掛けられないと訴え，受診。
胸に熱を感じ，下腹に瘀血を思わせる滞りあり。陰虚・六味丸証と診断し，六味丸7.5 g/ 日分３を投与。
１カ月後，身体の熱さが落ち着き，布団が掛けられるようになった。
５カ月後，抗アレルギー薬を服用しなくても，蕁麻疹がひどくなくなった。顔色がよくなり，体力が出てきた。
８カ月後，体重が元に戻り，体つきもがっしりしてきた。風呂に入っても蕁麻疹が出なくなった。たまに蕁麻疹が軽く出る程度になった。引き続き，六味丸を投与。

【解説】慢性蕁麻疹を始めとするアレルギー疾患には，十味敗毒湯などの柴胡剤や清熱剤などがよく投与されますが，今日では陰虚に陥っている人が多く，六味丸が適応する人も多いのです。