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漢方治療入門講座

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風邪の漢方治療

たかが風邪、されど風邪

未来の医学のシュミレーションとして患者さんが機械の前に立ち、自分の症状を入力すると薬が自動的に出てくるという絵を見たことがあります。
今日の西洋医学は抗生物質という強力な武器で風邪ごときの治療に苦慮することは殆どなく、発熱は解熱剤、咳は鎮咳剤、感染が疑われるなら抗生物質といった症状に応じてごく単純に薬の投与がなされているように思います。

しかし、抗生物質の無い昔は風邪が元で命を落とすことも多く、風邪を治すための真剣な取り組みがなされていました。
漢方医学のバイブルである傷寒論には生体が風邪に犯された時の生体防衛反応の諸相を三陰三陽に分けて詳しく分析し、生体の防衛反応を一番、スムースに治病に導く治療薬方をキラ星のごとく多く提示すると共に、もし、間違って薬方を用いた時の治病の仕方をこと細かく記述しています。
極端に言うと漢方処方全てが風邪薬です。

私は生来、裏寒体質で中学生の頃に風邪薬を服用すると胃腸の調子が悪くなり、かえって風邪の治りを悪くするのに気づき、医師になってもずっと風邪薬を飲まずに過ごしました。
そして漢方医学を勉強して始めて、私のような体質にピッタリの風邪薬があることを知りました。

たかが風邪と言えど、抗生物質の乱用による耐性菌の出現、ある種の解熱剤使用の子供にインフルエンザ脳症の発症率が高いなど今日の西洋医学は新たな課題を次から次へと引き起こしています。
殊に風邪の治療に関しては漢方医学はごくたまに少量の短期間の抗生物質、適切な輸液などの助けさえあれば西洋医学より実力があります。

風邪に対する傷寒論の記述と分類
病名 症状 適応
太陽病 風邪の初期で頭項強痛して悪寒する 表証 麻黄湯、葛根湯、桂枝湯
陽明病 風邪の極期で高熱を発し発汗、悪寒しない 裏証 調胃承気湯、白虎加人参湯
少陽病 風邪の中期で熱のふけさめ、口苦、食不振 半表半裏証 小柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯
太陰病 腹満、腹痛など裏虚症状を伴う 裏虚証 桂枝加芍薬湯、小建中湯
少陰病 症状がはっきり表にです、苦しがる 裏寒証 真武湯
蕨陰病 誤治などにより寒熱が絡み合っている 当帰四逆加呉茱萸生姜湯