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漢方治療入門講座

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うつ状態

うつ状態とは

  • 身体疾患に随伴してくるうつ状態
  • 分裂病、急性精神病、非定型精神病、症状性精神病などうつ病以外の精神病にともなううつ状態
  • うつ病の場合のうつ状態
  単極性うつ病 両極性うつ病
(そううつ病)
初発年齢 平均15年遅い 平均15年早い
再発率 より低い(病相1〜2回) より高い(病相3回以上)
病相期間 より長い(6〜9ヶ月) より短い(3〜6ヶ月)
血縁者の発病率 より低い より高い
身体症状 より多い より少ない
誘因 より認められやすい より認められにくい
性別 女性に多い 男性に多い
アルコール依存 より低い より高い
病前性格 執着性格
メランコリー親和型
循環気質の陽性型

松橋先生によると

うつ病治療に主として漢方薬を用いている。
漢方薬の導入によって抗うつ剤の副作用に苦しむ患者に対処できる。
従来の治療法に比較して経験的に再発率が極めて少ないこと、治癒像が生き生きしていることなどが漢方薬による治療の特徴としてあげられる。
漢方治療の困難点は一人、一人に合わせて薬方を選択する必要があり、画一的に投与することができないことである。また、時には短期間のうちに目をみはるような快癒をみることもあれば患者によっては適薬を選択するまでに試行錯誤を続けなければならないこともあり、治療過程が一律でないところが漢方薬による治療の弱点である。

最近のうつ病の動向と症状

最近のうつ病の動向
抑うつ気分が比較的軽度で身体的不調が主であるため精神科以外を受診する「軽症うつ病」が増加
抑うつ気分などの精神症状が現象として前景に現れず、身体症状のみが前景に出てくる「仮面うつ病」と呼ばれる疾患が増えてきた
うつ病の症状について
精神症状
  • 抑うつ気分
  • 焦燥感
  • 自信の喪失
  • 罪責感
  • 貧困妄想
  • 心気妄想
  • 自殺念慮
  • 自殺企画
身体症状
  • 種々の不定愁訴がみられるが当初は消化器症状が多い
  • 慢性化するにしたがって循環器症状や神経症状が中心となる
  • 両極性うつ病より単極性うつ病に身体症状が出やすい。
  • 鬱病の極期「抑鬱性昏迷状態」には身体症状は出にくい
  • うつ病が慢性、遷延化してくると精神症状は少なくなり身体症状が目立つ

うつ病の漢方治療

漢方治療におけるうつ病の代表的な分類と処方
性別 病型 漢方医学的所見 頻用処方 比較的頻用処方
男性 両極性うつ病 気滞、実証が多い 大柴胡湯 三黄瀉心湯
於血を伴いやすい 黄連解毒湯 柴胡加竜骨牡蛎湯
半夏厚朴湯 当帰芍薬散
加味帰脾湯 補中益気湯
女性 単極性うつ病 気虚、虚証が多い 桂枝加竜骨牡蛎湯 八味地黄丸
  • 高血圧の合併や既往があれば実証が多く、黄連解毒湯や三黄瀉心湯の適応が多い
  • 低血圧の合併や既往があれは虚証が多く、単極性うつ病がほとんどである。
  • 女性はや内臓下垂を伴い、身体症状としては胃腸症状をきたす場合が多い。

非定型精神病、急性精神病の漢方治療

非定型精神病とは
  • 非定型精神病の極期の病像は精神分裂病の急性期にあらわれやすい幻覚妄想状態や錯乱状態などを呈するが、様態において異なっている。
  • 経過が躁鬱病に似て周期的である。精神分裂病のように人格が荒廃しない。
  • 疏通性が良く、治療関係において親近感をもちやすい。
  • 誘因(心理的・身体的)が比較的明確である場合が多い。たとえば産後に発病する場合もよくある。
非定型精神病の急性期は
  • 陽明病(錯乱状態・腹部膨満・便秘)―瀉剤の適応
  • 男性は上焦、中焦が充満―三黄瀉心湯(便秘、病状の急迫)、黄連解毒湯(便秘がない、病状の急迫ない)
  • 女性は中焦、下焦が充満―大承気湯
非定型精神病の回復期および寛解期は
陽明病から少陽病に移行
  • 大柴胡湯、四逆散、柴胡加竜骨牡蛎湯などの柴胡剤
  • 黄連解毒湯、半夏瀉心湯、女神散などの黄連剤
  • 大承気湯、半夏厚朴湯、平胃散など厚朴の配された方剤
  • 通導散、桃核承気湯などの駆於血剤

松橋先生の本を基礎にした私流のまとめ

精神神経症状に良く用いられる生薬は
陽実―主薬は大黄「実火を瀉す」
  • 大黄、黄連、黄ごん―清熱瀉下薬―三黄瀉心湯、黄連解毒湯、大承気湯
  • 柴胡―大柴胡湯、四逆散
  • 桃仁、牡丹皮―駆於血薬―通導散、桃核承気湯、桂枝茯苓丸
  • 厚朴、枳実、香附子、木香―理気薬―半夏厚朴湯、平胃散、香蘇散
  • 桂枝、蘇葉、麻黄、葛根―解表薬―当帰四逆加呉茱萸生姜湯、葛根湯
  • 竜骨、牡蛎―安神薬―柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯
  • 酸棗仁、竜眼肉、遠志―養心安神薬―人参養栄湯、「加味」帰脾湯、酸棗仁湯
  • 人参、大棗、小麦―補気薬―甘麦大棗湯、人参湯、茯苓四逆湯
陰虚―主薬は人参「気を強くする」