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漢方治療入門講座

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血液疾患への漢方治療

血液疾患には補血剤が基本

私はかって消化器内科を専門としていましたが、25年前より漢方医学の世界にどっぷりと漬かって一般臨床を行なっているに過ぎませんのでこの分野においては見るべき治験を収めていません。
西洋医学の観点以外からの血液疾患に対してこれまでに見聞きし記憶に留めている多少の知識を述べさせていただきます。

漢方医学の立場では血液疾患は「血の異常、殆どは血虚」と考えます。
西洋医学は骨髄に造血機能があると考えますように漢方医学でも「血」は「腎」腎機能、骨髄機能、内分泌機能などの働きが大きく関与していると考えます。
従って漢方医学の立場でも血液疾患にたいして補腎効果の高い地黄が配された補血剤(代表は四物湯)を投与するのが基本となります。

又、東洋医学には「心は血を生じ、脾は血を統べ、肝は血を蔵す」との考えがあります。東洋医学では「心と腸は表裏の関係にある」と考えますが楢崎皐月氏は腸造血説を唱え骨髄造血説に反論されていますが、東洋医学のこの概念を再発見されたと思います。

補血剤の基本薬である四物湯(当帰・川きゅう・地黄・芍薬)の効能について、当帰は心・脾に入り血を生じ君薬となり、地黄は心・腎に入り血を滋おし臣薬となり、川きゅうは肝・心包に入り血をめぐらし使薬となり、芍薬は肝・脾に入り陰を斂めて佐薬となると解説されています。
臨床的には血虚の認められるときは気虚も伴なっていることが大部分です。

現実には補血剤を単独で用いることは少なく、補気剤の基本薬である四君子湯と合方して八物湯としたり(虚弱となった今日の日本人には人参湯合四物湯の場が多い)あるいは十全大補湯、人参養栄湯、大防風湯などを投与することが多いと思います。
しかし、気虚の程度の著しい時は人参湯、四君子湯、帰脾湯など補気剤の適応となります。
柴胡の証のある時は帰脾湯に柴胡の配された加味帰脾湯などの適応となります。

於血の認められるときは駆於血剤を投与することにより起死回生を図ることが出来ることもあります。実熱があれば清熱瀉下する必要もあります。

ポイント
血液疾患の基本薬は補血剤である四物湯ですが、臨床的には気血両補剤である人参湯合四物湯と考えます。(余力があれば十全大補湯、人参養栄湯、大防風湯)
気虚の程度の著しい時は補気剤である人参湯、四君子湯、帰脾湯の適応。(柴胡の証があれば加味帰脾湯が一般的に良く使用されています)
駆於血することが出来れば起死回生の効果がえられることがあります。