諸症状への漢方治療
出血に対する漢方治療
- 心実―興奮・顔面紅潮・不眠―三黄瀉心湯、女神散、黄連解毒湯
- 武士が刀瑕を受けて興奮し、出血多量の時に良く使用した
- 於血―胎盤残留、経血の凝血が多い、於血所見―桂枝茯苓丸、桃核承気湯
- 産後の胎盤残留による子宮出血などに用いる
- 鬱熱―肝・胆の熱、出血傾向―茵セ蒿湯、茵セ五苓散
- 黄疸のあるときの出血傾向に用いる
- 膀胱や尿道からの出血―猪苓湯、猪苓湯合四物湯
- 血虚―血虚、冷え、子宮出血、痔出血―きゅう帰膠艾湯、温経湯
- 裏虚―虚労・興奮しやすい・鼻出血―小建中湯
- 脾虚―疲れやすい、胃腸虚弱―帰脾湯
- 裏寒―冷や汗、プレショック状態―四逆加人参、独参湯(人参一味)
- 産後の大出血に用いられてきた、生理のときなどの大出血にも用いる
多血症に対する漢方治療
漢方医学の立場からは機能異常亢進状態と診て黄連や大黄の配された黄連解毒湯などの清熱瀉下剤あるいは桂枝茯苓丸などの駆於血剤を先ず考える。
貧血の漢方治療
漢方医学の立場では機能低下と診て
- 補気剤―四君子湯、帰脾湯(加味帰脾湯)
- 気血両補剤―人参湯合四物湯、十全大補湯、人参養栄湯
- 妊娠時の貧血―当帰芍薬散
貧血の程度がひどいとき時は漢方医学の眼で診ると大抵は気虚が甚だしく、鉄剤を投与すると胃腸機能を損なうことが多く、鉄剤を注射しながら補気剤を投与せざるを得ない。
- 例
- 子宮筋腫、高度貧血に人参湯加附子と鉄剤注射
- 子宮筋腫、高度貧血に帰脾湯と鉄剤注射など
- 付記
- 一般的には貧血には鶏や牛の肝を食べるように薦めますが、肉屋の女将さんから貧血には豚の腎臓が一番と聞きました。
- 牛の骨髄をマローといって最近では免疫力をつける薬として効果が高いと聞いています。
成書に見る血液疾患に対する漢方治療
一般的にこの分野では加味帰脾湯が代表処方となっています。
加味帰脾湯は帰脾湯に柴胡・山梔子を加えたもの、帰脾湯は四君子湯加黄耆・当帰・遠志・酸棗仁・竜眼肉・木香。
思慮過度にして心脾を労傷し、健忘、発熱体倦、食少なく不眠し、あるいは脾虚して血をおさむることあたわずして血妄行をいたし、及び婦人経滞るを治す。
心虚するによって脾虚するを補益するを目的とす。
諸出血にて、貧血甚だしく皮膚が白く、或は黄白にて心動悸、食不振を訴えるもの、健忘症、思慮過度、或は大病後清気虚脱して健忘するもの心身過労による不眠症、思慮過度による衰弱にて食欲不振、月経不順
帰脾湯証で柴胡の証(胸脇苦満、口苦など)あれば加味帰脾湯を投与する。(大塚敬節先生の漢方診療の実際より抜粋)
- 悪性貧血
- 28歳の女性で余命1ヶ月と言われた微熱、嘔吐のあるひとに加味帰脾湯を投与し著効
- 再生不良性貧血
- 輸血を繰り返していた少年に加味帰脾湯を投与し、次第に輸血が不用となり、健康体に戻った
- 藤井美樹先生の加味帰脾湯解説より抜粋(漢方製剤の知識4、昭和62年)
- ウイルソン氏病の13歳の男子に加味帰脾湯投与し元気になって退院
- バンチ氏病に帰脾湯を投与――大村久雄先生
- 血小板減少性紫斑病、腹部性紫斑病の子供に建中湯類(細野史郎先生の漢方治療の方証吟味より抜粋)