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漢方治療入門講座

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漢方治療について‐防衛剤‐

漢方治療のABC

私が漢方医学を始めた当時は漢方薬を日常診療の中で使用することは、かなりアブノーマルな感の強い頃でした。
そんな時に、漢方医学に飛び込んだ訳は、幼い子供を育てながらでは現代医学を追求するのに最適な大病院では働けないことが分かったので、私なりに出来る方法で医学を追求していきたいと強く願ったからです。

漢方医学の奥は深く、まだ道は遠い感がしますが、現代医学と異なる視点から患者さんと疾病を診ることが出来るようになったと思います。
今日は私が漢方医学を始めた頃と異なり、多くの先生が手軽に漢薬を使用されるようになり、喜ばしい限りなのですが、漢薬の基礎知識の無いままに乱用されていたり、漢薬を現代医学的に分析・追求するあまり枝葉末節に捕われ、漢方医学の本質を見失った論文が多く残念に思います。

今回はその漢方治療の基礎である温裏剤を中心にお話しします。

A.裏寒の治療を最優先
裏寒が顕著に認められる時(代謝低下)は、他の一切の治療は無効である。反って病状を悪化させるだけである。
温裏剤を適切に使用することが漢薬治療にとって一番大切である。
温裏剤はエキス剤治療では人参湯と真武湯である。
B.脾胃を整えることが治療の要
後天の気の源は脾胃。脾胃は身体の要、脾胃を整えれば生体の自然治癒力が高まる。脾胃の機能を高める補気剤がことに重要である。
一般臨床においては六君子湯の使用の機会が多い。
C.補ってから攻める、温めてから下す。
攻撃剤を使用すべき状況にあっても、特に裏寒や気虚、裏虚が認められれば、攻撃剤を使用すると反って病状を悪化させる。防衛剤を使用し、身体を温めたり、身体に力をつけた後に、攻撃剤を使用する必要があることが今日の日常診療では多い。

漢薬治療に際しては以上のように防衛剤が重要ですが、これに相当する薬は現代医学にはありません。また、今日の日本人は食生活や生活習慣などの変化により虚弱になっているため、漢方薬は防衛剤を使用するだけでも現代医学を十分補うことが出来ます。

漢薬の使用はことに温裏剤である人参湯や真武湯、補気剤である六君子湯をまず、自家薬籠とされることをお勧めします。