柴胡剤について(その4)
薬方の展開
- 小柴胡湯(柴胡・黄ごん・人参・半夏・甘草・生姜・大棗)
- 柴胡剤の基本薬
- 傷寒五六日、往来寒熱、胸脇苦満、黙々として飲食を欲せず、心煩、喜嘔、あるいは胸中煩して嘔せず、あるいは渇し、あるいは腹中痛み、あるいは脇下痞更し、あるいは心下悸して小便不利し、あるいは渇せず、身に微熱あり、あるいは咳するものは小柴胡湯を主る。傷寒四五日、身熱悪風、頚項強ばり、脇下満、手足温にして渇するものは小柴胡湯を主る。
- 主として傷寒に用いる
- 雑病に用いるときは、多くは合方したり、あるいは他の柴胡剤の適応となる多くは痩せ型で筋肉質、くすんだ顔色、上腹角が狭い
- 大柴胡湯(柴胡・黄ごん・芍薬・半夏・生姜・大棗・枳実・大黄)
- 太陽病…反って二三之を下し、後四五日、柴胡の證なおある者は、先ず小柴胡湯を興う。嘔やまず、心下急、欝欝微煩の者は大柴胡湯を興えて之を下せばすなわち癒ゆ
- 雑病に用いるときは一般に便秘がちでがっしりした体格のものに使用
- 胆石、高血圧、肝炎、便秘などに使用
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(柴胡・黄ごん・人参・半夏・甘草・生姜・大棗・桂枝・茯苓・竜骨牡蛎)
- 傷寒八九日、これを下し、胸満煩驚、小便不利、譫語、一身ことごとく重く、転側すべからざる者は柴胡加竜骨牡蛎湯これを主る
- 神経症、不眠症、癲癇、高血圧などに使用
- 柴胡桂枝湯(柴胡・黄ごん・人参・半夏・甘草・生姜・大棗・桂枝・芍薬)
- 傷寒六七日、発熱微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未だ去らざるものは柴胡桂枝湯これを主る
- 桂枝湯+小柴胡湯
リウマチ、胃潰瘍、胃炎、胆嚢炎、胆石、潰瘍性大腸炎、神経症、血の道症などに使用
- 柴胡桂枝乾姜湯(柴胡・黄ごん・甘草・乾姜・桂枝・カロ根・牡蛎)
- 傷寒五六日、すでに汗を発し、しかしてまた之を下し、胸脇満微結、小便利せず渇して嘔せず、ただ頭汗出で、往来寒熱、心煩の者は、柴胡桂枝乾姜湯之を主る
- 血の道症、高血圧、肝炎など広く使用
- 上熱下寒、下痢しやすい、風邪をひきやすいものに使用
- 風呂を沸かす時、風呂の湯をまぜて上部の熱さと、下部の冷たさを均一にするような働きがある薬
- 十味敗毒湯(柴胡・桔梗・防風・川きゅう・桜皮・茯苓・独活・荊芥・甘草・乾生姜)
- 皮膚疾患に広く使用
- 乙字湯(柴胡・大黄・黄ごん・升麻・当帰・甘草)
- 痔の薬として有名。皮膚疾患、皮膚病内攻による神経症などに使用。
- 抑肝散(柴胡・甘草・白朮・茯苓・当帰・川きゅう・釣藤)
- 小児の癇の虫(夜泣き・ひきつけ・夜の歯ぎしり)に用いられる薬であるが、大人でも肝気が高ぶって神経過敏となり、怒りやすく、イライラして性急となり興奮して寝れないという、神経の興奮を鎮静させる働きがある。興奮したときに青筋を立て、眼がとんがり、手足などが震え、筋がつっぱり、指先が冷える特徴がある。足の腹直筋が緊張している。
- 不眠 ヒステリー、神経症、チック、神経性斜頚、側弯、脳出血後遺症、高血圧、更年期障害などに使用
- 四逆散(柴胡・甘草・芍薬・枳実)
- 少陰病四逆し、その人或いは咳し、或いは悸し、或いは小便利せず、或いは腹中痛み、或いは泄痢下重するものは回逆湯これを主る
- 本来の少陰病でなく、裏熱のために正気が外に伸びずに四肢の厥冷を現しているときには大柴胡湯の変方である四逆散を用いる
- 胆嚢炎、胆石、胃炎、胃潰瘍、大腸炎、気管支炎、神経過敏、鼻炎などに使用
- 加味逍遥散(柴胡・甘草・白朮・茯苓・当帰・芍薬・乾生姜・薄荷・牡丹皮・山梔子)
- 血の道の代表的な薬…月経不順、熱のふけさめがあり、両頬が赤くほてる、発汗
- 背部の悪寒、蒸熱感、怒りやすく神経過敏、疲れやすい
- 慢性肝炎、肝硬変、便秘、湿疹、膀胱炎、肺結核などに使用
- 滋陰至宝湯(柴胡・甘草・白朮・茯苓・当帰・芍薬・薄荷・知母・地骨皮・麦門冬・貝母・香附子・陳皮)
- かつて肺結核によく用いられた薬。
微熱が長引き、衰弱の傾向にあるものに用いる。
虚弱の婦人に多いと記載されているが、陰虚し、肺熱燥をきたいしやすい現代人向きの加味逍遥散として諸疾患に広く使用している。
- 加味帰脾湯(柴胡・甘草・白朮・茯苓・当帰・乾生姜・木香・人参・黄耆・大棗山梔子・酸棗仁・竜眼肉・遠志)
- 帰脾湯に柴胡・山梔子、加味逍遥散より虚状を呈する血の道症などに良く使用
- 加味逍遥散とちがい下痢しやすい。風邪をひきやすく、体がえらく、クヨクヨ、イライラ
- 柴胡清肝湯(柴胡・甘草・温清飲・連翹・桔梗・牛蒡子・天花粉・薄荷)
- 一貫堂の森道伯の考案した小児の腺病質、解毒体質の体質改善薬
- 頚部リンパ腺炎、扁桃腺炎 中耳炎 肺門リンパ腺腫 皮膚病 神経症に使用
- 荊芥連翹湯(柴胡・甘草・温清飲・連翹・桔梗・荊芥・防風・薄荷・枳穀・白し)
- 一貫堂の森道伯の考案した青年期の解毒体質の体質改善薬
- 中耳炎 副鼻腔炎 鼻炎 扁桃腺炎 肺浸潤 にきび 禿げ 神経症などに使用
- 竜胆瀉肝湯(当帰・地黄・木通・黄ごん・沢瀉・車前子・竜胆・山梔子・甘草)
- 壮年期以降の解毒体質の体質改善薬
- 下焦の湿熱を冷ます、尿道炎 膣炎 陰部湿疹 バリトリン腺炎などに使用